6.15. 画像の拡大・縮小...

画像の拡大・縮小... コマンドは画像の縦と横のそれぞれの画素数を変更することで画像の大きさを物理的に増加もしくは減少させます。 拡大・縮小は画像の内容を変更して行われますのでキャンバスの大きさも変わります。

この操作は画像を全体的に変更します。 レイヤーの幅や高さは 1 ピクセルたりとも伸縮できないため、 大きさの異なるレイヤーが画像に含まれているときは画像を小さくしても一部のレイヤーが縮小できません。 その場合には操作を実行する前に警告が出ます。

特定のレイヤーだけを拡大・縮小するには レイヤーの拡大縮小... コマンドをご利用ください。

[注記] 注記

設定 ダイアログの環境のページで設定される 新しい画像の最大サイズ (初期設定値は 128 Mb) を上回る容量の画像を拡大の操作で生成するおそれのあるときは、 実行前に警告があり、 確認を求められます。 このような操作でも問題が発生しなければよいのですが、 残念ながら大きな画像はたくさんの資源を要求しますし、 お使いのシステムの資源量を上回る巨大な画像ともなると GIMP を異常終了させたり不正な処理を行なう危険がありますので注意が必要です。

6.15.1. コマンドの呼び出し方

  • You can access this command from the image menubar through ImageScale Image….

6.15.2. 画像の拡大・縮小ダイアログ

図16.68 画像の拡大・縮小ダイアログ

画像の拡大・縮小ダイアログ

画像サイズ (キャンバスサイズ)

画像の現れる場所を 4 つの段階に分けると、 画像ファイルの中にあったものが、 読み込まれたあとは RAM に収まり、 表示されれば画面上に現れ、 印刷されれば紙面に描かれます。 画像のありかはこのいずれかになることを念頭に置いて話をすすめます。 画像を拡大・縮小することは画像に含まれる画素数 (つまり情報量) が変化することですから、 画像を収めるための RAM やファイルの容量に直接の影響があります。

ただし印刷された画像の大きさは画像の解像度にも依存します。 解像度は紙上で単位距離あたりの画素数 (ppi ならピクセル毎インチ) を本質的に決定します。 画像をいっさい拡大・縮小せず画素数もいじらぬまま印刷物の画像の大きさを変更する必要があるときは 画像印刷解像度の設定 ダイアログをお使いください。 画面上の寸法は画素数のみならず画面の解像度や表示倍率、 さらには ピクセル等倍で表示 オプションの扱いによっても変わります。

画像を引き伸ばして拡大すると GIMP は不足する画素を補間により算出しますが、 それで画像がより詳細になるわけではありません。 画像は拡大を進めるにつれ不鮮明になってゆきます。 拡大された画像の見た目の質は選択した補間方法によって違ってきます。 鮮鋭化 強調フィルターを使えば拡大した画像も多少は見栄えがよくなりますが、 スキャナーで取り込むにしろディジタル写真を撮るにしろ画像をディジタル作成するにしろやはり始めから高い解像度にしておくに越したことはありません。 もともとラスター画像の引き伸ばしはうまくできないものなのです。

Web で公開する予定の画像は縮小する必要がでてきます。 インターネットの向こう側にいる人々のなかには大きな画像を丸ごと表示できない比較的小さなコンピューター画面で見ているひともいます。 だいたい 1024×768 ピクセルかそれ以下の画面がまだ多く使われています。

画素を加減する処理を再標本化 (resampling) といいます。

幅; 高さ

画像の拡大・縮小... コマンドでこのダイアログを呼び出した時点では画像の寸法がピクセル単位で表示されています。 これらの値を加減して 高さ を決めてゆきます。 両記入欄の右隣にある鎖のしるしが連結した姿になっているときは幅と高さが連動して互いの比例関係 (縦横比) を維持します。 この鎖をクリックすると連結が解け、 幅と高さを個別に指定できるようになりますが、 画像は歪みます。

もちろん寸法の設定に使える単位はピクセルに限りません。 記入欄の右隣の引き出しメニューで他の単位に換えて指定できます。 また百分率を単位に選べば元画像の大きさとの相対比率で大きさを設定できます。 インチやミリメートルのような実寸単位も利用できます。 しかしこのとき 水平解像度垂直解像度 に適切な値を設定しなければなりません。 この解像度をもとに実寸から画像の画素数による寸法への変形が行なわれるためです。

水平解像度; 垂直解像度

画像印刷の解像度が 水平解像度垂直解像度 で設定できます。 寸法は引き出しメニューで他の単位にも切り替えられます。

品質

画像の大きさを変更すると画素の削除または追加のいずれかが必ず起こります。 その処理方法いかんで仕上がりの品質が変わってきます。 補間方法 の引き出しリストで拡大・縮小を受けた画像の画素の色を補間するのに使える処理方法が選択できます。

補間方法
  • 補間しない: 補間は行なわれません。 あたかも拡大表示のような画素の拡張や削除がなされるだけです。 この方式の品質は最低ですが非常に高い処理速度が出ます。

  • 線形: この方式は比較的高速ですが、 かなり良い結果が出せます。

  • キュービック: この処理は最高の仕上りが期待できますが、 処理に最も時間が掛かります。

  • Sinc (Lanczos 3): GIMP 2.4 から登場したこの方式は、 比較的ぼやけにくい卓越した拡大を実現します。

[注記] 注記

レイヤーや選択範囲やパスの大きさも変えられる 拡大・縮小ツール も参照してください。