第4章 固まったときの対処

目次

1. 固まったときの対処
1.1. 反応しなくなった!
1.2. GIMPが反応しなくなるほとんどの理由

1. 固まったときの対処

1.1. 反応しなくなった!

了解しました。 おまかせください。 動かなくなったのですね。 画像にツールで何かの操作をしたら、 全然反応がなくなって、 しかも何をやっても変化しなくなったのでしょう。 あなたの手首は硬ばりだし、 額には脂汗が浮かんで…。 もしやプログラムを強制終了しようかと思ってませんか? それまでの成果は無駄になってしまうのに。 駄目じゃん。

まずは一回深呼吸です。 実はGIMPを長年使っている人にもたびたびこういったことが起こっているのですが、 見方を変えるとその原因をつきとめたり (修繕したり) するのは案外簡単な場合が多いのです。 落ち着いて、 つぎの点検項目をじっくりたどれば必ずや楽しいGIMPの時間が戻ってきます。

1.2. GIMPが反応しなくなるほとんどの理由

1.2.1. フローティング (浮層) 選択範囲がある

図4.1 フローティング選択範囲があることを示すレイヤーダイアログ

フローティング選択範囲があることを示すレイヤーダイアログ

みわけかた: フローティング (浮層) 選択範囲 があると、これを固定するまでは実行できない操作がたくさんあります。 確認のため、 レイヤーダイアログを見て (作業中の画像を扱っている状態で)、 最前面のレイヤーがフローティング選択範囲になっていないか確かめます。

対処法: フローティング選択範囲を固定するか、 もしくはそれを通常の (浮いていない) レイヤーに転換します。 よくわからない方は レイヤーを固定 をご覧ください。

1.2.2. 選択範囲が隠されている

図4.2 選択範囲の境界線を表示メニューで対処

「選択範囲の境界線を表示」メニューで対処

表示 メニューの 選択範囲の境界線を表示 が入りになっていることを確かめる。


これが問題になるそもそもの原因は、 ここを読んでいる時点まではいろいろ他の問題は思い付きはしても、 まさかここが関係するとはなかなか察知しづらいからではないでしょうか。 選択範囲を示す点滅破線はしばしば画像の重要な細部を見えづらくしてしまう難点があるため、 GIMPでは 表示 メニューの 選択範囲の境界線を表示 のチェックを外せば選択範囲の線を隠せるようになっています。 ところがその後で忘れてしまいやすいのです。

対処法: これが何ら警鐘を鳴らすものではないのなら、 もともと問題でもありません。 これが問題だと思わなければよいだけの話になります。 その逆の場合も、 すでにあなたはもうどうすれば良いかご存知です。 でも一応申し上げますが、 表示 メニューを開き、 選択範囲の境界線を表示 のチェックが外れていたらクリックして入れてください。

1.2.3. 選択範囲の外で作業している

図4.3 すべて選択で対処

「すべて選択」で対処

選択範囲を全域にするため 選択 メニューの すべて選択 をクリックする。


対処法: 全域選択でせっかくできていた選択範囲が壊れてしまったのでしたら、 もとに戻るまで Ctrl+Z (取り消し) を数回繰り返してから問題解決に入りましょう。 考えられる原因はいくつかあります。 もし選択範囲がどこにも見当たらないときは、 選択範囲が極めて小さく、ときには1ピクセルも含んでいないようなものになっている可能性があります。 この場合、残しておきたいようなものではないでしょうから、 もとに戻す必要はありませんね。 もし選択範囲が見えていて作業もその範囲内でしているはずだという場合は、 選択範囲が反転している可能性があります。 クイックマスクボタンを押すのがいちばん簡単なみわけかたです。 選択範囲は透明ですが非選択範囲にはマスクが掛かっています。 原因がこのとおりならば、 クイックマスクを解除してから 選択 メニューより 選択範囲を反転 してください。

1.2.4. 描画中の領域が不可視である

図4.4 不可視レイヤーに対処

不可視レイヤーに対処

描画中のレイヤーが不可視になっていることを示すレイヤーダイアログ。


みわけかた: レイヤーダイアログでは個々のレイヤーの可視/不可視を切り替えることができます。 レイヤーダイアログを見て、 描画されているレイヤー (強調されています) がどれかを探し、 その左に目のしるしがあるか確かめてください。 なければ、 それが原因です。

対処法: 処理対象のレイヤーが無効だった場合は、 レイヤーダイアログでそのレイヤーをクリックして有効にしてください。 (有効なレイヤーがまったく無ければ、 描画対象はチャンネルかもしれませんのでチャンネルダイアログを見てください。 解法は同じです。) レイヤーダイアログ上で目のしるしがなければ、 左端をクリックして切り替えてください。 これでレイヤーは可視化されます。 より詳しい説明が レイヤーダイアログ にあります。

1.2.5. 描画中の領域が透明になっている

図4.5 レイヤーの不透明度に対処

レイヤーの不透明度に対処

作業中のレイヤーの不透明度がゼロであることを示すレイヤーダイアログ。


みわけかた: 不透明度が 0 のレイヤー上ではどんな描画をしても何も表示されません。 レイヤーダイアログ上部の 不透明度 スライダを見てください。 もし最左端にあれば、 それが原因です。

対処法: スライダを動かします。

1.2.6. レイヤーの領域外で作業している

みわけかた: GIMPではレイヤーが画像と同じ大きさである必要はありません。 はみ出すような大きいものでも、 一部だけの小さなものでも、 ずれていてもよいのです。 レイヤーの境界線より外側で作業しても何も起きません。 この事態をみわけるには、 黒と黄色の点線で区切られた矩形領域をさがしだし、 その内側で作業しているのかどうか確かめるのです。

レイヤーを大きくします。 レイヤー メニューの下のほうにある2つの操作がどちらもこの問題を解決します。 レイヤーをキャンバスに合わせる: レイヤーの範囲を画像の大きさと同じにします。 レイヤーの拡大・縮小...: ダイアログが開き、 レイヤーの大きさを自由に変えられます。

1.2.7. 画像がインデックスカラーのモードになっている

みわけかた: GIMPは3つの異なる色のモード RGB(A)とインデックスとグレースケール を扱えます。 インデックスカラーのモードはカラーマップを使用しており、 画像のすべての色は色目録からとられています。 しかしGIMPスポイトRGBカラーのモードを前提にした仕様で色を抽出します。 要するに、 カラーマップの目録外の色で描こうとすると、 (変な色がついたり、 何も描けなかったり) おかしな結果になるのです。

対処法: 画像を描画するときは常にRGBモードを使用します。 画像 メニューの モード を見れば現在のモードを確認でき、 ここで他のモードに変換することもできます。