5. ブラシ

図7.15 ブラシによる描画の例

ブラシによる描画の例

GIMP 標準添付のさまざまなブラシを使った描画数例。 すべてブラシで描画ツールを用いて描画した。


ブラシ は一個または組み合わされた数個のビットマップでできており、 描画に使います。 GIMP には 10 種の描画ツールがありますが、 これらは描画という言葉から典型的に連想される操作にとどまらず、 消去や転写、 にじみ効果や照明/暗影効果をも司ります。 描画ツールはインクツールを除きすべてが同じブラシ群を利用します。 ブラシのピクスマップの姿は試しに画像上で一点描いてみればわかります。 ブラシを使った描画は、 普段はマウスボタンを押したまま画像上でマウスポインターを滑らせて行ないますが、 このときその軌道上には使っているブラシと描画ツールの特徴を持った刻印が間隔を開けて並びます。

ブラシは ブラシダイアログ 上のアイコンをひとつクリックして選びます。 GIMP で現在 使用中のブラシ はツールボックス下部の ブラシ / パターン / グラデーション のところを見てもわかります。 (設定 ダイアログのツールボックスのページをご覧ください。) ブラシのところをクリックすれば直ちにブラシダイアログ上の作業に移ります。

GIMP のインストールには基本的なブラシのほかにただブラシの可能性を示すためだけの奇妙なもの (たとえば例図にも載せたピーマンブラシ) も入っています。 もっと別の新しいブラシをダウンロードしてきたりご自分で新たに作ったりして GIMP で使えるようにインストールする方法もあります。

GIMP で使えるブラシはいくつかに分類できます。 しかしその使い方はすべて同じですから、 ほぼどんな使い道でも使うブラシの違いを気にする必要はありません。 つぎにブラシの分類をあげます。

通常のブラシ

GIMP についてくるブラシのほとんどはこちらに分類されます。 ブラシダイアログ上ではグレースケールのピクスマップとして表示されているものです。 描画するときにはその黒い色は描画色 (ツールボックス上の色表示でわかります) で置換されます。 ブラシダイアログに並んでいるアイコンは画像上に描かれる刻印を表しています。

このようなブラシの作り方: 拡大ズーム表示しながら小さな画像を描いて、 グレースケールモードにします。 これを拡張子 .gbr の付いた名前のファイルにエクスポートし、 所定の位置 に保存します。 ブラシダイアログのブラシの更新ボタン をクリックすれば GIMP を再起動することなく新しいブラシをプレビューできます。

色ものブラシ

この分類のブラシはブラシダイアログ上では色つきで表示されています。 テキストも含まれます。 その色がこれらのブラシの塗色です。 描画色として指定されている色は使われません。 そのこと以外は通常のブラシと同等です。

To create such a brush, create a small RGBA image:

Select FileNew… from the main menu.

In the Advanced Options, set for example the Color space to RGB color and set Fill with to Transparency.

Draw your image.

Select FileSave… from the main menu to first save your image as an .xcf file to keep its properties.

Select FileExport As… from the main menu to export the image as a brush with the .gbr extension.

In the Brush Dialog, click on the button Refresh brushes .

Your brush appears among the other brushes. You can use it immediately, without restarting GIMP.

[ヒント] ヒント

選択範囲を写し取ったり切り取ったりしたときに、 クリップボードの内容 (すなわち選択範囲のコピー) がブラシダイアログの筆頭に現れます 「クリップボードブラシ」。 これは描画にも使えます。

図7.16 写し取りもしくは切り取りの後のブラシ選択

写し取りもしくは切り取りの後のブラシ選択

ブラシパイプ形式

この分類のブラシは画像上に単一ではなく幾種もの形状の刻印をします。 ブラシダイアログ上ではこのブラシの見本の右下隅には赤い三角印が付いています。 これらはアニメーションするブラシとの異名があり、 このブラシでなぞってゆく間にその刻印の形が変化してゆきます。 [ブラシパイプ形式とかイメージホースとも呼ばれます。] 根本的にパイプブラシは非常に知能的な側面を与えられます。 タブレットを使用される場合は特に、 圧力や角度などに反応させることが考えられます。 しかしその可能性のすべては開発しきれておりません。 GIMP についてくるブラシは比較的簡素です (でも十分有益です)。

こういったブラシの作り方の例が次の節 「ブラシの追加」 にあります。

媒介変数つきブラシ

これらのブラシは ブラシエディター で作られています。 このエディターは簡素なユーザーインターフェースながら多種多様なブラシ造形を可能にします。 媒介変数つきブラシのすばらしい点は 伸長可能 であることです。 それらの媒介変数は 設定 ダイアログの入力コントローラーのページで特定キーの押下やマウスホイールの回転によってブラシの大きさが増減するように設定できます。

すべてのブラシには可変高さがあります。 事実、 すべての描画ツールのツールオプションボックスにいま活性化しているブラシの高さを増減できるスライダーがあります。 この調節はマウスホイールをうまく設定しておけば、 画像ウィンドウ上で直に行なうこともできます。 ブラシの大きさの増減 をご覧ください。

ブラシピクスマップに加えて、 もう一つの GIMP ブラシの重要な属性がブラシの 間隔 です。 なぞるように描画されるときの軌道上を連続して並ぶ刻印の互いの距離のことです。 ブラシはそれぞれに既定の値を持っていますが、 ブラシダイアログ上で変更可能です。

[注記] 注記

GIMP can use MyPaint brushes. Please refer to 「MyPaint Brush」 for more information.

5.1. ブラシの追加

[注記] 注記

There is a quick method to add a new brush: 「ブラシの手早い作成」.

ブラシを追加するには、 新たに作成したものであれダウンロードしてきたものであれ、 GIMP で使えるファイル形式で保存します。 ブラシファイルは GIMP がブラシダイアログの一覧に載せられるようにするため、 GIMPブラシ検索パス に置きます。 ブラシの更新ボタン をクリックすればブラシのあるディレクトリー群で再度指標化されます。 GIMP が利用するブラシ用のファイル形式はつぎの 3 つです。

GBR

The .gbr ("gimp brush") format is used for ordinary and color brushes. You can convert many other types of images, including many brushes used by other programs, into GIMP brushes by opening them in GIMP and saving them with file names ending in .gbr. This brings up a dialog box in which you can set the default Spacing for the brush.

A technical specification of the GBR file format can be found on developer.gimp.org.

図7.17 .gbr 形式でブラシを保存

.gbr 形式でブラシを保存

GIH

The .gih ("gimp image hose") format is used for animated brushes. These brushes are constructed from images containing multiple layers: each layer may contain multiple brush-shapes, arranged in a grid. When you save an image as a .gih file, a dialog comes up that allows you to describe the format of the brush. See 「Creating animated brushes」 for more information about the dialog.

A technical specification of the GIH file format can be found on developer.gimp.org.

VBR

.vbr 形式は媒介変数つきブラシ、 つまりブラシエディターで作られたブラシに使われています。 それ以外の方法でこの形式のファイルを入手しようとしても無意味です。

MYB

The .myb format is used for MyPaint brushes. Please refer to 「MyPaint Brush」 for more information.

追加したブラシを有効にするには GIMP が検索できるブラシ保管パスのフォルダーにそのブラシを置きます。 初期設定ではブラシ検索パスにはフォルダーが 2 つ登録されています。 それぞれ、 ユーザーが手を加えられないシステムパス下の brushes フォルダーと、 個人用 GIMP フォルダー下の brushes フォルダーです。 新たに作ったブラシ保管パスは 設定 ダイアログのブラシフォルダーのページ上でブラシ検索パスに追加登録できます。 GBR 形式、 GIH 形式、 VBR 形式のいずれのブラシファイルもブラシ検索パスに保管すれば、 ブラシダイアログのブラシの更新ボタンを押した直後からブラシダイアログ上に並びますし、 新たにフォルダーをブラシ検索パスに登録した場合はその後に GIMP を再起動したときから、 ブラシダイアログ上で見られるようになります。

[注記] 注記

ブラシエディターで作成した媒介変数つきブラシは、 作成後に自動的に個人用 brushes フォルダーに保存されます。

既にネット上では GIMP 用ブラシ集を公開配布するところがたくさんあります。 そのサイトへのリンク集をここに載せてもすぐに古くなってしまうので、 そのかわり、 GIMP brushesをお好みの検索サイトで探してください。 他の描画機能つきソフトのためのブラシもたくさんありますが、 その一部は GIMP 用ブラシに容易く変換できます。 それ以外にも特別なユーティリティを通せば変換できるものもありますが、 残念ながらどうしても利用できないものもあります。 面白いプロシージャーブラシもほとんどが最後の範疇に入ってしまいます。 興味がある方はまずウェブで調べて、 どうしても見付からないときは質問を受け付けてくれる達人を探してください。