4.5. 選択範囲のフロート化

選択範囲のフロート化 コマンドは通常の選択範囲をフローティング選択範囲に変更します。

ときにはフローティングレイヤーとも呼ばれるフローティング選択範囲は通常のレイヤーと同じ機能をもつ一種の臨時レイヤーですが、 画像にこれがあるときほかのレイヤーで何らかの作業を続行するには、 その前にフローティング選択範囲を 固定 しなくてはなりません。 つまりそれを通常の (浮いていない) レイヤー上に — 大抵は元のレイヤー (直前まで活性化していたレイヤー) 上にくっつけることになります。 具体的にはフローティング選択範囲の外側で画像をクリックします (後述)。

[重要項目] 重要項目

画像にフローティング選択範囲がある状態では他のレイヤーに対する操作が何もできません。

画像データを加工する多様な操作はフローティング選択範囲にも行えます。 フローティング選択範囲はひとつの画像で同時に 1 層だけ存在できます。

[ティップ] ティップ

レイヤー境界線の表示 によってレイヤーが点線で囲まれていると、 レイヤー内で厳密に何らかの領域を選択する作業がやりづらくなる場合があります。 この問題を避けるには、 矩形の選択範囲を作成してからフローティング選択範囲に変換し、 これを新しいレイヤーとして固定するとよいでしょう。 あとは元のレイヤーを削除するだけです。 [何のことやらわかりません。: 訳者]

旧式の GIMP でフローティング選択範囲といえば、 画像を局所的に操作するために使うものでした。 この用途なら今ではレイヤーのほうがはるかに簡単にできますが、 こんな使い方でも画像を加工できます。

4.5.1. コマンドの呼び出し方

  • 画像ウィンドウのメニューより 選択選択範囲のフロート化

  • キーボードショートカット Shift+Ctrl+L

4.5.2. フローティング選択範囲の自動生成

画像操作にはフローティング選択範囲を自動的に生成するものがあります。

  • 貼り付け操作や 名前付きバッファーを貼り付け貼り付け選択範囲内に貼り付け の各操作を実行するといずれもフローティング選択範囲を生成します。

  • さらにレイヤーではなく選択範囲を対象として 鏡像反転剪断変形拡大・縮小回転遠近法 の各変形ツールが作用しているときにもフローティング選択範囲が生成されます。 選択範囲が活性化している画像で変形ツールを使うとき、 変形対象 にレイヤーを選んでいるとそのツールは選択範囲を変形したうえでフローティング選択範囲を生成します。 選択範囲がない画像では[文字通り]レイヤーが変形され、 フローティング選択範囲は生成されません。 (変形対象 に選択範囲を選んでいる場合もフローティング選択範囲は生成されません。)

  • Ctrl+Alt キーの組み合わせを押しながら選択範囲をクリックしてドラッグすると移動できますが、 このときもフローティング選択範囲が生成されます。 「選択範囲の移動」 をご覧ください。

4.5.3. フローティング選択範囲の固定

フローティング選択範囲を固定する方法はつぎのいずれかです。

  • フローティング選択範囲はその選択範囲の発生元となる現在のレイヤーに固定できます。 固定するにはフローティング選択範囲がかからない画像上のどこかをクリックしてください。 すると現在のレイヤーにフローティング選択範囲が統合されます。

  • レイヤーの固定 コマンド(Ctrl+H)を実行します。

  • レイヤーダイアログ の脈絡メニューの レイヤーの固定「フローティングレイヤーの固定」 アイコンボタンをクリック。

  • フローティング選択範囲があるときに 新しいレイヤー を追加すると、 フローティング選択範囲は作成されたそのレイヤーに固定[統合]されます。