第10章 写真の補正

目次

1. ディジタルカメラ写真の処理
1.1. はじめに
1.2. 構図の改良
1.3. 色補正
1.4. 明瞭度の補正
1.5. 画像から不要な物を除去
1.6. 成果の保存

1. ディジタルカメラ写真の処理

1.1. はじめに

GIMP の用途のなかでもディジタルカメラで撮った写真に何か不満があって直すのに使うというときはひときわ多いはずです。 露出不足や露出過多、 軸線傾斜、 焦点のずれ等々、 どれをとっても GIMP のツール群にとってはありふれた問題でしかありません。 この章ではそれらツールのあらましを述べるとともにそれらが本領を発揮する事例を挙げることに主眼を置いています。 詳しい使い方や演習はここには書きません。 ツールはだいたいいつも説明を読むよりも使って試したほうが早く習得できます。 (それでも個別解説の部ではツールをひとつづつ徹底的に詳述してあります。) さらにこの章では、 GIMP を使ってできるはずの画像上の特殊効果の大多数については何ひとつ触れていないことにも気づかれると思います。 この章は基本的な GIMP の概念を理解されている方向けですが、 達人である必要は間違いなくありません。 もし精通されているのなら、 ここでの話はほとんどご存知のはずでしょう。 それともう一つ、 試しにやってみることをためらわないでください。 GIMP には強力な取り消しのしくみがあるので、 どんな失敗からも Ctrl+Z を押せばほとんどが挽回できます。

でき損なった写真を綺麗に直したいという要求をみていくと、 主なものは 4 つに分類できます。 すなわち構図の改良、 色補正、 ピントの補正、 画像から不要な被写体を除去することです。

1.2. 構図の改良

1.2.1. 画像を回転

It is easy, when taking a picture, to hold the camera not quite perfectly vertical, resulting in a picture where things are tilted at an angle. In GIMP, the way to fix this is to use the Rotate tool. Activate this by clicking its icon in the Toolbox, or by pressing the Shift+R while inside the image. Make sure the Tool Options are visible, and at the top, make sure for Transform: that the left button (Transform Layer) is selected. If you then click the mouse inside the image and drag it, you will see a grid appear that rotates as you drag. When the grid looks right, click Rotate or press Enter, and the image will be rotated.

実際問題としてはこの方法ではなかなかぴたりと合わせられません。 割とうまくできても完全には至らない、 そんな感じではないでしょうか。 少しづつ回転させれば良いかというと、 そうでもなくこの方法には欠点があります。 画像に回転をかける度に、 元の画像ほどには精密に画素を並べられないことが災いしてどうしようもなくだんだんと画像がぼけてきてしまうのです。 1 回だけの回転ならぼかしの程度はかなり低く抑えられますが、 これが 2 回になるとぼかしは 2 倍になりますから、 そこまでして回転をかけたくはないでしょう。 よりましなやり方としては回転と取り消しを交互に行ない、 最適な傾きを探る方法があります。

うれしいことに GIMP にはもうひとつ別の手段が用意されていて、 これはかなり簡単に使えます。 回転ツールのツールオプションの変形方向を 逆変換 にするのです。 この場合格子線は、 傾いた向きと反対に回すのではなく傾いた側に 寄り添うように 回転させます。 何だかややこしそうですが、 試してみればすんなりとその意味が理解できるはずです。

[注記] 注記

There is an option to preview the results of transformations, instead of just seeing a grid. This makes it easier to get things right on the first try.

画像を回転させた後には、 画像の隅に不愉快な三角形の が空いてしまいます。 これへの対処には目立たない色か無色に近い色の背景レイヤーを裏側から充てる方法がありますが、 それよりも画像を切り抜いた方がほとんどの場合うまく解決します。 大きく回転させればそれだけ切り抜く部分も大きくなりますから、 結局最初にカメラで撮影する段階で、 できるだけ良い構えをとることが最善の策です。

1.2.2. 切り抜き

ディジタルカメラで写真を撮る際に構図に入れる対象に気を付けていたのに思ったとおりにはうまくできていないことがしばしばあります。 結果として画像を刈り込むことになります。 それ以上に、 画像の印象を改良する目的で重要な被写体が鍵となる位置につくように画像を刈り込むことは度々あることです。 鉄則ではありませんが覚えておくと便利な三分割法といわれる大雑把な構図法があります。 これは画像を縦横それぞれに 3 等分したその中央の区画こそ最大の焦点になるというとらえ方です。

To crop an image, activate the Crop tool in the Toolbox, or by pressing Shift+C while inside the image. With the tool active, clicking and dragging in the image will sweep out a crop rectangle. When everything is perfect, hit Enter. Note: if Delete cropped pixels in Crop Tool Options is disabled, the cropped part will not be removed from the image, only the visible image area will be adjusted.

1.3. 色補正

1.3.1. 自動化ツール

高度な露出調整システム付きを謳っていながら、 ディジタルカメラで写真を撮ると露出不足や露出過多になったり、 明るさが不十分だったために色の出が悪くなる場合がしばしばみられます。 画像の色を修正できる GIMP のさまざまなツール群には、 クリック一発で自動補正できるツールから多数のパラメーターを細かく調節できる高度なツールまでとりそろえられています。 まずは簡単なほうから行きましょう。

GIMP gives you several automated color correction tools. Unfortunately they don't usually give you quite the results you are looking for, but they only take a moment to try out, and if nothing else they often give you an idea of some of the possibilities inherent in the image. Except for "Auto Levels", you can find these tools by following the menu path ColorsAuto in the main menu.

各機能を簡単に紹介すると、

正規化

これは色の範囲いっぱいまで画像の色の強度を均等に伸長させる非常に強力な補正を行います。 ときおり魅力的な効果を発揮して、 とても他の方法では真似ができないコントラストをもたらしますが、 いつもはほとんどの画像が超自然的に見えるようになります。 おっとそれから、 これだけはちょっと時間がかかります。

ホワイトバランス

あまり使われていない色を削除して余った範囲いっぱいまで分布を広げますので、 貧弱な白か黒で画像が強調されます。

コントラスト伸長

This is useful for underexposed images: it adjusts the whole image until the brightest point is right at the saturation limit, and the darkest point is black. The downside is that the amount of brightening is determined entirely by the lightest and darkest points in the image, so even one single white pixel and/or one single black pixel will make normalization ineffective. It operates on the red, green, and blue channels independently. It often has the useful effect of reducing color casts.

Stretch Contrast HSV

これはコントラスト伸長に似た処理を RGB ではなく HSV 色空間で行います。 色相は保たれます。

色強化

このコマンドはレイヤーの色の明るさや色相を変化させずに彩度の分布を広げます。 ですからグレースケール画像には効きません。

レベルの自動調整

This is done by selecting ColorsLevels… in the main menu, and then pressing the Auto Input Levels button near the center of the dialog. You will see a preview of the result; you must press Okay for it to take effect. Pressing Cancel instead will cause your image to revert to its previous state.

画像を見てそこに真っ黒にすべき点と真っ白にすべき点があったら、 レベルツールの半自動調整を使えばだいたいいつも画像全体に色と明るさの両方をうまく直してくれます。 まずレベルツールを先述のとおりに呼び出します。 そうしたらダイアログの自動調整ボタンの隣りに点眼器の姿をした 3 つのボタンがありますね。 (見てのとおりスポイト機能です)。 試しに左のボタンにマウスポインターをかざすと、 その機能は黒点を設定だと判ります。 これをクリックしてから画像内の黒に (ただの暗い色ではありません。 真っ黒に、 です。) したかった点をクリックして画像の変化を観察しましょう。 さらに 3 つのボタンの右端 (白点を設定) をクリックしてから画像内の白にしたかった点をクリックして画像の変化の様子を見てください。 いい結果が出たなら OK ボタンを、 はじめからやり直すには リセット ボタンをクリックします。

Those are the automated color adjustments: if you find that none of them quite does the job for you, it is time to try one of the interactive color tools. All of these, except one, can be accessed via ColorsAuto in the main menu.

1.3.2. 露出の問題

The simplest tool to use is the Brightness/Contrast tool. It is also the least powerful, but in many cases it does everything you need. This tool is often useful for images that are overexposed or underexposed; it is not useful for correcting color casts. The tool gives you two sliders to adjust, for Brightness and Contrast. If you have the option Preview checked (and almost certainly you should), you will see any adjustments you make reflected in the image. When you are happy with the results, press Okay and they will take effect. If you can't get results that you are happy with, press Cancel and the image will revert to its previous state.

ちょっとばかり手間がかかりますが、 レベルツールを使うともっと洗練された方法で露出補正ができます。 このツールのダイアログは見た目に結構難しそうですが、 今回のような基本的な用途の場合はヒストグラムの下側にある入力レベルの区画の、 とくに三角形の 3 つのスライダーだけに注目すればいいのです。 その扱い方は レベルツール を見てもらえば解りますが、 簡単に使い方を覚えるにはやはり実際に 3 つのスライダーを動かしてみて、 画像にどんな効果が現れるのかを観察するのが一番です。 (ダイアログ下部の プレビュー オプションを有効にするのをお忘れなく。)

トーンカーブは露出の問題を非常に強力に修正するツールです。 このツールならば入力側の明るさレベルと出力側の明るさレベルの相関曲線 (カーブ) を描けますし、 これは線上のコントロールポイントをクリックしてドラッグするだけでできます。 トーンカーブツールは明るさ-コントラストツールやレベルツールでできることはひととおり真似できることから、 両者よりも強力なツールといえます。 これも扱い方は トーンカーブ に詳しく書いてありますが、 簡単に覚えるコツはまず試してみることです。

卓越した GIMP ユーザーの考える画像の明るさやコントラストを全面的に調整する最も強力な手段とは、 加工したいレイヤーの上に新たにレイヤーを重ね、 レイヤーダイアログでそのレイヤーのモードを乗算にする方法です。 これでその新しいレイヤーは下側のレイヤーに対する入力調整レイヤーとなり、 白い部分が最大入力、 黒い部分が入力なしのはたらきをします。 つまり、 新しい方のレイヤーを塗れば局部的に画像の入力を調整できることから、 非常に精密な制御が可能になるのです。 ただし急激な入力変化をつけるとわざとらしい縁取りが浮き出てきてしまうので、 滑らかなグラデーションだけを使って塗るようにしましょう。 またそのレイヤーの描画には灰色系の陰影のみを使うようにし、 後で色変換をかけることが前提になければ彩色をしてはいけません。

実際には利得調整に使えるモードは乗算だけとは限りません。 乗算モードは画像を部分的に暗くすることはできても明るくすることはできませんから、 本当は露出過多の画像にしか有効ではありません。 除算モードはその逆の効果があります。 これだと画像を部分的に明るくできますが暗くはなりません。 画像の細部を隈なく最大限に引き出すつぎの秘技は結構使えます。

  1. レイヤーを複製します (新しいレイヤーを上に重ねます)。

  2. 新しい方のレイヤーを脱色します。

  3. 続けてそのレイヤーに、 ぼかし半径を 100 ピクセル以上に大きくとったガウスぼかしフィルターをかけます。

  4. レイヤーダイアログでそのレイヤーのモードを除算に設定します。

  5. 補正はレイヤーダイアログで不透明度を調節するほか、 新しいレイヤーに対し明るさ-コントラストツールやレベルツールやトーンカーブツールを使って行ないます。

  6. 仕上りに満足できたら、 下のレイヤーと統合 を使えば調整用レイヤーと元のレイヤーを 1 層のレイヤーに結合できます。

乗算除算の他にも、 覆い焼き焼き込みソフトライトなどのレイヤー結合モードもたびたび有用な効果が出ます。 とても簡単なのはいいのですが、 一旦やり初めるとふとした拍子にコンピューターから離れたときにはもう 1 時間もパラメーターを弄るのに費してしまったことに気が付く、 なんてこともありえます。 警告します。 オプションが増えるにつれ決断が困難になる。

1.3.3. 色相と彩度の調節

In our experience, if your image has a color cast—too much red, too much blue, etc—the easiest way to correct it is to use the Levels tool, adjusting levels individually on the red, green, and blue channels. If this doesn't work for you, it might be worth your while to try the Color Balance tool or the Curves tool, but these are much more difficult to use effectively. (They are very good for creating certain types of special effects, though.)

時折色の補正が適切にできているかどうか見分けるのが難しくなる場合があります。 こんなときに上手い客観的な技法があって、 その為には、 白くしたい位置や灰色だけの陰影にしたい位置を画像に見つけておきます。 ピクセル情報 ダイアログを開いて、 今言った位置にマウスポインターをかざします。 色補正が正しくできておれば、 その位置では赤・緑・青のそれぞれの値が等しくなるはずです。 等しくなければ次にどんな補正をすべきかも判るはずです。 この技法はうまく使えば色弱の方でも画像の色を修正できます。

If your image is washed out—which can easily happen when you take pictures in bright light—try the Hue/Saturation tool, which gives you three sliders to manipulate, for Hue, Lightness, and Saturation. Raising the saturation will probably make the image look better. In same cases it is useful to adjust the lightness at the same time. ( Lightness here is similar to Brightness in the Brightness/Contrast tool, except that they are formed from different combinations of the red, green, and blue channels.) The Hue/Saturation tool gives you the option of adjusting restricted subranges of colors (using the buttons at the top of the dialog), but if you want to get natural-looking colors, in most cases you should avoid doing this.

[ヒント] ヒント

色褪せた画像でなくとも、 ほんのちょっと彩度を上げると大抵は見た目に強い印象を与えられます。 かつてのフィルム時代の先輩たちは、 この秘技をFujifyingと呼んでいました。 これは富士フイルム社のフィルムが高彩度プリントになることで悪名高かったことから来ています。

明るさに乏しい状況で写真を撮ると、 場合によってはこの逆の彩度が高すぎる問題が起こります。 このときも色相-彩度ツールが便利です。 彩度は増すのではなく逆に減らします。

1.4. 明瞭度の補正

1.4.1. 鮮明化

カメラの焦点が正しく合っていなかったり、 ブレながらシャッターが切られると画像はぼけてしまいます。 あまり酷くぼけてしまうとどんな技術をもってしてもできることはほとんどありませんが、 大したことがなければ恐らく画像は修正できます。

The most generally useful technique for sharpening a fuzzy image is called the Sharpen (Unsharp Mask. In spite of the rather confusing name, which derives from its origins as a technique used by film developers, its result is to make the image sharper, not unsharp. It is a plug-in, and you can access it via FiltersEnhanceSharpen (Unsharp Mask)… in the main menu. There are two parameters, Radius and Amount. The default values often work pretty well, so you should try them first. Increasing either the radius or the amount increases the strength of the effect. Don't get carried away, though: if you make the unsharp mask too strong, it will amplify noise in the image and also give rise to visible artifacts where there are sharp edges.

[ヒント] ヒント

Sometimes using Sharpen (Unsharp Mask) can cause color distortion where there are strong contrasts in an image. When this happens, you can often get better results by decomposing the image into separate Hue-Saturation-Value (HSV) layers, and running Sharpen (Unsharp Mask) on the Value layer only, then recomposing. This works because the human eye has much finer resolution for brightness than for color. See the sections on Decompose and Compose for more information.

In some situations, you may be able to get useful results by selectively sharpening specific parts of an image using the Blur/Sharpen tool from the Toolbox, in "Sharpen" mode. This allows you to increase the sharpness in areas by painting over them with any paintbrush. You should be restrained about this, though, or the results will not look very natural: sharpening increases the apparent sharpness of edges in the image, but also amplifies noise.

1.4.2. ざらつきを減省

When you take pictures in low-light conditions or with a very fast exposure time, the camera does not get enough data to make good estimates of the true color at each pixel, and consequently the resulting image looks grainy. You can smooth out the graininess by blurring the image, but then you will also lose sharpness. There are a couple of approaches that may give better results. Probably the best, if the graininess is not too bad, is to use the filter called Selective Blur, setting the blurring radius to 1 or 2 pixels. The other approach is to use the Despeckle filter. This has a nice preview, so you can play with the settings and try to find some that give good results. When graininess is really bad, though, it is often very difficult to fix by anything except heroic measures (i.e., retouching with paint tools).

1.4.3. 淡柔化

Every so often you have the opposite problem: an image is too crisp. The solution is to blur it a bit: fortunately blurring an image is much easier than sharpening it. Since you probably don't want to blur it very much, the simplest method is to use one of the Blur filters, accessed via FiltersBlur from the main menu. This will soften the focus of the image a little bit. If you want more softening, just repeat until you get the result you desire.

1.5. 画像から不要な物を除去

画像から除去したい物には 2 種類あります。 まずは、 レンズに付いたほこりや髪の毛のようなごみによる人工物、 つぎに、 現実に存在していた物ではあるけれどたとえば美しい山の風景の縁を横切って張られた電話線のような、 画像の美観を損ねる被写体です。

1.5.1. ノイズ除去

A good tool for removing dust and other types of lens grunge is the Despeckle filter, accessed via FiltersEnhanceDespeckle… from the main menu. Very important: to use this filter effectively, you must begin by making a small selection containing the artifact and a small area around it. The selection must be small enough so that the artifact pixels are statistically distinguishable from the other pixels inside the selection. If you try to run despeckle on the whole image, you will hardly ever get anything useful. Once you have created a reasonable selection, activate Despeckle, and watch the preview as you adjust the parameters. If you are lucky, you will be able to find a setting that removes the junk while minimally affecting the area around it. The more the junk stands out from the area around it, the better your results are likely to be. If it isn't working for you, it might be worthwhile to cancel the filter, create a different selection, and then try again.

画像にまだ他にも人工物が写っている場合、 ノイズ除去はそれぞれ個別にかける必要があります。

1.5.2. がらくたの除去

The most useful method for removing unwanted clutter from an image is the Clone tool, which allows you to paint over one part of an image using pixel data taken from another part (or even from a different image). The trick to using the clone tool effectively is to be able to find a different part of the image that can be used to copy over the unwanted part: if the area surrounding the unwanted object is very different from the rest of the image, you won't have much luck. For example, if you have a lovely beach scene, with a nasty human walking across the beach who you would like to teleport away, you will probably be able to find an empty part of the beach that looks similar to the part he is walking across, and use it to clone over him. It is quite astonishing how natural the results can look when this technique works well.

スタンプツールのヘルプ には詳しく使い方が述べられています。 転写は科学の一部門に匹敵する技術ですから、 研鑽を積むほどに得るものは大きくなります。 はじめは精々汚点が描けるだけの難しい代物に思えても、 頑張ってみる価値はあります。

スタンプツールによく似ていてもっと洗練されたツールといえば 修復ツール のことですが、 これは転写の際に目的地の周囲の様子も考慮してくれます。 画像のちょっとした欠点やしわを取り除く用途がその典型です。

ひょっとすると画像から邪魔になる物体をまさに刳り貫いてしまってResynthesizerという名前のプラグインでその穴を埋めると、 うまくいくかもしれません。 このプラグインは GIMP の配布内容には含まれていませんが、 作者のウェブサイト [PLUGIN-RESYNTH] で入手できます。

1.5.3. 赤目を修正

カメラに視線を向けている人にフラッシュを浴びせて写真を撮ると、 眼の虹彩がフラッシュの光を反射して目に明るい赤色が現れる赤目現象が起きてしまい、 非常に奇妙に写ります。 最近のカメラにはこの赤目現象を最小限に抑えるフラッシュモードを搭載しているものが多数ありますが、 それに切り替えてやらねば効きませんし、 使っていてもちゃんと効くとは限りません。 同じ現象は獣の目でも起きますが、 赤目ではなく緑など他の色になって現れるというのは興味深い話です。

GIMP provides a special remove red eye filter. Make a selection with one of the selection tools of the red part of the eye and then choose the Remove Red Eye filter. You may have to fiddle around a bit with the threshold slider to get the right color.

1.6. 成果の保存

1.6.1. ファイル

作業の成果を保存するにはどのファイル形式にしたら良いでしょうか。 また、 大きさは変えないといけないでしょうか。 その答えは、 その画像を何に使うつもりなのかによって変わってきます。

  • まだその画像を GIMP で加工するつもりがあるなら、 GIMP 由来の XCF 形式で保存するべきです。 (名前は 斯く斯くしかじか.xcf のようになります。) これが唯一、 画像に加えた情報を何ひとつ失わない保証がある形式だからです。

  • If you intend to print the image on paper, you should avoid shrinking the image, except by cropping it. The reason is that printers are capable of achieving much higher resolutions than video monitors — 600 to 1400 dpi (dots per inch, the physical density) for typical printers, as compared to 72 to 100 pixels per inch for monitors. A 3000×5000-pixel image looks huge on a monitor, but it only comes to about 5 inches by 8 inches on paper at 600 ppi. There is usually no good reason to expand the image either: you can't increase the true resolution that way, and it can always be scaled up at the time it is printed. As for the file format, it will usually be fine to use JPEG at a quality level of 75 to 85. In rare cases, where there are large swaths of nearly uniform color, you may need to set the quality level even higher or use a lossless format such as TIFF instead.

  • If you intend to display the image on screen or project it with a video projector, bear in mind the highest screen resolutions for most commonly available systems. There is nothing to gain by keeping the image much larger than these resolutions. For this purpose, the JPEG format is almost always a good choice.

  • If you want to put the image on a web page or send it by email, it is a good idea to make every effort to keep the file size as small as possible. First, scale the image down to the smallest size that makes it possible to see the relevant details (bear in mind that other people may be using different sized monitors and/or different monitor resolution settings). Second, save the image as a JPEG file. In the JPEG save dialog, check the option to Preview in image window, and then adjust the Quality slider to the lowest level that gives you acceptable image quality. (You will see in the image the effects of each change.) Make sure that the image is zoomed at 1:1 while you do this, so you are not misled by the effects of zooming.

ファイル形式 に詳しい情報があります。

1.6.2. 写真を印刷

You print photos from the main menu through FilePrint…. However it is very useful to keep in mind some elementary concepts to prevent some unpleasant surprises when looking at the result, or to fix them if they occur. You must always remember:

  • 画像は画面上では RGB モードで表示されますが、 印刷においては CYMK モードが使われます。 したがって印刷結果の色彩的特徴は必ずしも期待した内容と同じではありません。 その結果は使用されている対応表に依存します。 気になる方のためにウィキペディアへのリンクを張っておきますから、 詳しい説明はそこで探してください。

  • 画面の解像度はだいたい 75dpi から 100dpi の範囲です。 プリンターの解像度はおよそその 10 倍かそれ以上あります。 印刷される画像の大きさは利用可能な画素数や解像度に依存します。 つまり実際の印刷物の大きさは画面上の見た目の大きさにもましてや紙の大きさにももとより同じにはなりえません。

Consequently, before any printing, go to ImagePrint Size… and choose a convenient output size in the Print Size box adjusting either sizes or resolution. The symbol shows that the both values are linked. You can dissociate x and y resolution by clicking on that symbol, but it is risky. Only some printers support different X vs. Y resolutions.

最後の忠告です。 センタリングもそうですがマージンの点検についても気を付けましょう。 マージンを大きくとり過ぎると画像の一部が切り取られる悲惨な結果になりますし、 センタリングが不適切だととりわけ特殊フォトペーパーを使っていたときの損害は甚大です。

1.6.3. Exifデータ

最近のディジタルカメラは、 撮影時のカメラの設定内容や状況についての情報をデータファイル内に追加します。 このデータは Exif と呼ばれる構造化された形式で JPEG 形式や TIFF 形式のファイルに埋め込まれます。 JPEG ファイルならば GIMP はその Exif データが適切に構成されている場合に限り扱えます。 その機能はlibexifと呼ばれるライブラリーに依存しています。 このライブラリーはどのシステムでも有効なわけではありません。 Exif サポートを有効にしてビルドされた GIMP なら、 Exif データつきの JPEG 形式のファイルの読み込み、 及び加工後の JPEG 形式での再保存のいずれも Exif データの内容を変更することなくひきつげます。 厳密には画像編集ソフトウェアとしてはこのような Exif データの扱いは正しくありませんが、 かつての GIMP がやっていた単純消去よりはましでしょう。

If you would like to see the contents of the EXIF data, you can use the metadata-viewer plug-in. You can access it via ImageMetadataView Metadata from the main menu.